2012年5月13日日曜日

挑戦

今日はお知らせを一つ。

と、その前に、何回か書いた記憶が有りますが、僕のレザークラフトは誰に教わった訳でもなく、
いわば独学です。

独学と言う点に関して良い面もあれば悪い面もありますがその辺は置いておいて。

技術に関しては、これからも同じ様に一人で失敗を繰り返しながら高めて行こうと思っています。

でも一人で抱え込んでいたら出来ないような発想や取り組み方を教えてくれた人がいます。

その方からは、とにかく丁寧に綺麗に作りなさい。

そして、色々な事への感覚を磨いて、その中から自分のオリジナリティを磨きなさいと教えてもらいました。

それは現在も僕の考え方のベースにあり、僕だけでなくうちのビーズワーカーも同じように取り組んでいます。

さらに複雑な要素が絡み合ってひとつの作品を製作していますが、簡単に言うと僕らの作品の価値と言うのはそういう所にあるのだと思います。


そして、僕らの製作した作品を正当に評価してくれる方がいる。

それはお客様だったり、お取扱店様だったり。

得に御取扱店様には、良い物は良い悪い物は悪いとシビアに判断して頂き、
僕が表現したオリジナリティーが良い方向なのかだめな方向なのかバイヤーの目でジャッジして頂いています。

そうそう、以前ある御取扱店の方にこんな事を言われた事があります。
気に入った作品が有ればどんどん真似して作ってみればいい。
どんなに真似したって、全く同じものは出来ないから。
そして、3個作ったら3個目を持ってきて、と。

これも先の話のように、お客様に物を売る側の目線で、似たような物はやはりお店には出せないけど、何回も作る事により、技術はもとより、自分の中でその作品を消化してオリジナリティーが出てる物をお客様に提示する、いわばそれこそが売れる品というバイヤーとしての経験からくる言葉だったと思います。

仮想空間でいいね、欲しいねって言われる事は多々あっても、実際に対価を払ってでも手に入れたいと思える作品が出来なければ作り手としてなんの意味もない、バイヤーとしてもそれは価値のない品なのです。

金だけじゃないって部分も確かにゼロではないけれど、作品を作っている以上売れる品が出来ないと出来上がった品はただの革の塊でしかありません。
 
売れる品、売れない品、売りやすい品、売りにくい品、いろいろな要素を吟味し、一つの作品を製作しないと、革の塊を作っているだけ、そんな厳しくも、正しい現実を教えてくれたのもお取扱店のバイヤーさんでした。

始まりは一人だったけど、立ち止まって周りを見渡せば、いろいろな方にいろいろな面でサポート頂き、今もこうして製作を続けていられる。
日々、皆様に感謝し、製作に励む今日この頃。

このような事を踏まえ製作を続けてきた結果、一つの大きな成果が現実となって僕に舞い込んできました。
僕一人の力では到底叶えられなかった出来事。

この度サウスダコタにあるインディアンアートギャラリー、プレーリーエッジ様で僕のウォレットを販売して頂く事となりました。

ラコタのアートに興味を持ち始めた頃から知っていたプレーリーエッジというギャラリー。

サイトを見ると今を生きるラコタの人々の作品が所狭しと並んでいます。

ここで取り扱ってもらうという事はどういう事なのだろうか?
と、僕は考えながら、そうなればいいな~と思い製作を続けてきました。

僕の聞くところによると、日本人作品を置いたのは二人目。
一人目は何を隠そうジュエリーアーティストの堀江 純 氏の作品だそうです。
ご本人はそんな事、あまり口に出して言わないですが、堀江さんここ日本に限らずラコタでも相当知られています。やっぱりすごい!

実際のところ、見ず知らずの日本人がひょいと作品を持って行ってもまず相手にされないギャラリーです。
しかも、今回持って行ったのはウォレット。
アメリカでは日本のようにウォレットに高いお金を出すという人はごく限られた人、
一般的に流通しているのは$30~40のウォレットだそうです。

その点も加味し、ドル仕様での製作と価格帯も市場に合わせての挑戦。

不景気真っただ中のアメリカで、価格を抑えてといっても流通するウォレットの3倍以上はする僕のウォレット、れっきとした高級ウォレットです。

インディアンメイドの作品も買え控えしている現状を聞きいていたので、買い取ってくれたと報告を聞いたときは、本当に嬉しくて、腰の力が抜けてしまいました。

値段交渉がとても難しかったと聞きましたが、入り込めるチャンスがあれば入り込む。
今回価格面などのこだわりというか、プライドみたいな物を二の次に考えていました。
そういった点も良い方向に作用し、交渉していただいた方も臨機応変に対応していただけたのだと思っています。

自分の要求を通し過ぎてステージに立てるチャンスを潰してしまう、そんなことはしたくなかったから。

ここで勝負できたのは、作品の完成度はもちろんのこと、営業に行ってくださった方の力が大きかったです。

ひとつの目標が叶い万感の思いのでいっぱいですが、反面、言葉も文化も違う異国の地で良いと言ってもらう段階、さらに対価を払って買ってもらう事の難しさを改めて実感した今回の僕の挑戦となりました。

もっとリサーチをし、これならって思える品を作らねば。
郷に入れば郷に従え、でも猿まねでは絶対通用しない世界。

まだまだの僕が言うのはおこがましいですが。世界はそんな甘くない、身に染みました。

でもきっと志は海を越えて花開く。

まだまだ道半ばです。

これからも吠えず驕らず、作品だけで勝負して行く作り手で有りたいとふんどしの紐を締め直した今回の嬉しいお知らせでした!

未だ行ったことの無いプレーリーエッジ。
いつかきっと・・・


Prairie Edge Fine Art Gallery‎
606 Main Street
Rapid City, SD 57701-2736

0 件のコメント:

コメントを投稿